ここでは中学と高校で習う因数分解の公式を8つ紹介します。
問題を解きながら、やり方をマスターしていきましょう!
因数分解とは
簡単にいうと、式を「式のかけ算だけでできた式」に変形することです。
例えば、\(15x+12\) を \(3(5x+4)\) に直したり、\(x^2+2x-3\) を \((x+3)(x-1)\) に変形する操作、これを「因数分解」と呼びます。
ただし、単純に式を変形すればいいというわけではなく、それ以上変形できない形まで変形してあげる必要があることを頭に入れておきましょう。
この因数分解にはいくつか公式があり、うまく使うとより早く・ラクに計算することができるようになります。
公式の紹介の前に、公式よりも大事な因数分解のテクニックを見ていきましょう。
公式よりも大事なこと
因数分解では、公式を使う前に共通因数でくくれないかを必ず考えましょう。
共通因数を見つけることは、問題を解く上でとても重要です。
共通因数って?
ここからは \(3a+6\) という多項式を例に「共通因数」の説明をしていきます。
「多項式」について詳しく知りたい方はこちら
\(3a+6\) において、項は \(3a\) と \(6\) の2つです。
1つ目の項は \(3 \times a\)、2つ目の項は \(3 \times 2\) と表すことができますね。
この2つを比べた時に、共通している数があることに気が付きますか?
そう。\(3\) ですね。
この \(3\) は2つの項に共通した因数なので、共通因数と呼ばれます。
「因数」について詳しく知りたい方はこちら
共通因数でくくる
共通因数が分かったところで、今度は共通因数でくくる作業をしてみます。
先ほどの多項式 \(3x+6\) の項に共通する因数(=共通因数)は、\(3\) だと分かりました。
共通因数が分かるように式を書き換えると \(3 \times x+3 \times 2\) となりますね。
ここで、共通因数以外の部分を左から拾ってつなげてみましょう。
そうすると、\(x+2\) という多項式ができあがります。
共通因数 \(3\) と共通因数以外でできた多項式 \(x+2\)。
これらをかけ算の形にしてくっつけることを「共通因数でくくる」と言います。
つまり、\(3x+6\) を共通因数でくくると、\(3\) \((x+2)\) という式になるわけです。
共通因数でくくる手順
① 式を項に分ける
② それぞれの項を、数や文字の積で表す
③ 共通因数を見つける
④ 共通因数が分かるように、元の式を書き換える
⑤ 共通因数以外の部分で式をつくる
⑥ ③と⑤をくっつける
慣れるまでは、上の順番で丁寧に問題を解いてみましょう。
慣れてきたら、途中の操作を省略して手早く計算する練習をしてみるとよいでしょう。
練習問題
次の式の共通因数を答えなさい。
1
\(ax+a\)
解答
\(a\)
解説
\(ax+a\) の項は、\(ax\) と \(a\)。
それぞれ積の形に直すと \(a \times x\) と \(1 \times a\) だから、共通因数は \(a\) だと分かります。
2
\(12x^2-8xy+20x\)
解答
\(4x\)
解説
\(12x^2-8xy+20x\) の項は、\(12x^2\) と \(-8xy\) と \(20x\)。
それぞれ積の形に直すと \(2 \times 2 \times 3 \times x \times x\) と \(-2 \times 2 \times 2 \times x \times y\) と \(2 \times 2 \times 5 \times x\) だから、共通因数は \(2 \times 2 \times x\) つまり \(4x\) だと分かります。
3
\(3a^2bc-18ab^2c-6abc^2\)
解答
\(3abc\)
解説
\(3a^2bc-18ab^2c-6abc^2\) の項は、\(3a^2bc\) と \(-18ab^2c\) と \(-6abc^2\)。
それぞれ積の形に直すと \(3 \times a \times a \times b \times c\) と \(-2 \times 3 \times 3 \times a \times b \times b \times c\) と \(-2 \times 3 \times a \times b \times c \times c\) だから、共通因数は \(3 \times a \times b \times c\) つまり \(3abc\) だと分かります
補足:因数分解との違い
先ほど、\(3x+6\) を共通因数でくくって \(3\) \((x+2)\) という式に変形してみましたが、実はこれで因数分解も完了しています。
どういうことか。
最初にお話したように、因数分解は式を「式のかけ算だけでできた式」に変形することです。ただし、それ以上変形できない形まで式を変形する必要がありましたね。
一方、共通因数でくくる作業は共通因数を見つけた上で、かけ算だけの式に直すものでした。
両方とも「式をかけ算だけの式の形にする」点は共通しています。
そのため、式を共通因数でくくると、自動的に因数分解もできてしまうことがあります。
ただ、すべてのケースがそうではなく、中には共通因数でくくっても因数分解は行われていないものもあるので注意が必要です。
共通因数でくくることは因数分解をする上で重要な作業ですが、万能ではないということですね。
この操作とここから紹介する公式と組み合わせることで、どんな式でも因数分解ができるようになります。
中学で習う公式
ここから紹介する8つの公式を紹介します。
どれも重要ですが、特に公式1~4は覚えて使えるようにする必要があります。
公式の暗記が苦手という方は、まずは問題を解いてみましょう。
問題を何度も解くうちに、自然と公式が使えるようになるはずです。
公式1
\(x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)\)
例1)\(x^2+3x+2=x^2+(1+2)x+1 \times 2=(x+1)(x+2)\)
例2)\(x^2-2x-35=x^2+(5-7)x+5 \times (-7)=(x+5)(x-7)\)
公式2
\(x^2+2xy+y^2=(x+y)^2\)
例1)\(x^2+8x+16=x^2+2 \times x \times 2+2^2=(x+2)^2\)
例2)\(x^2+14x+49=x^2+2 \times x \times 7+7^2=(x+7)^2\)
公式3
\(x^2-2xy+y^2=(x-y)^2\)
例1)\(x^2-2x+1=x^2-2 \times x \times 1+1^2=(x-1)^2\)
例2)\(x^2-18x+81=x^2-2 \times x \times 9+9^2=(x-9)^2\)
公式4
\(x^2-y^2=(x+y)(x-y)\)
例1)\(x^2-16=x^2-4^2=(x+4)(x-4)\)
例2)\(9x^2-1=(3x)^2-1^2=(3x+1)(3x-1)\)
高校で習う公式
公式5
\(x^3+y^3=(x+y)(x^2-xy+y^2)\)
例)\(x^3+8=x^3+2^3=(x+2)(x^2-2x+4)\)
公式6
\(x^3-y^3=(x-y)(x^2+xy+y^2)\)
例)\(a^3-27=a^3-3^3=(a-3)(a^2+3a+9)\)
公式7
\(x^3+3x^2y+3xy^2+y^3=(x+y)^3\)
例)\(8x^3+12x^2y+6xy^2+y^3=(2x)^3+3(2x)^2y+3 \times 2xy^2+y^3=(2x+y)^3\)
公式8
\(x^3-3x^2y+3xy^2-y^3=(x-y)^3\)
例)\(a^3-9a^2b+27ab^2-27b^3=a^3-3a^2 \times 3b+3a(3b)^2+b^3=(a-3b)^3\)
まとめ
この記事では8つの因数分解の公式を紹介してきました。
問題を解きながら、因数分解をマスターしていきましょう!
(共通因数でくくることも忘れずに!)